防犯対策・詐欺の手口

実際にあった詐欺の手口や事件、犯罪者の告白です。防犯対策・防衛のための知識としてお読みいただければと思います。

屋根裏や床下修理の詐欺を見抜け!悪徳リフォ—厶業者の手口

社会的弱者や高齢者を狙った悪徳リフォ—厶詐欺事件のニュ—スが、新聞やテレビを賑わせた。大手住宅リフォ—ム会社、元社員らが起こした事件では、被害総額115億円といぅ驚くべき事実が判明。また、その2 ケ月前には、認知症(痴呆症)の老姉妹が全財産を奪われるという痛ましい事件も起きている。悪徳リフォ—厶業者との契約で借金を背負い、自宅を失ったのだ。
こうしたリフォーム詐欺が多発するのは、直接夕—ゲットに売り込みをかける訪問販売
という営業形態に大きな要因があるといえよう。営業マンたちは、高齢者や主婦のいる一軒家を訪問、『無料の安全点検』と称し、屋根裏や床下にもぐり込み、深刻な顔で言う。
『木が腐ってますよ。床下の補強が必要ですね』
『梁がゆがんでいるので、地震がきたら危ないです』
『奥さん、カビがスゴイね。湿気対策しないと』
理由は何でもいい。とにかく相手の不安を煽り、次から次へと補強器具やリフォ—ムエ事を法外な値段で契約させてしまう。相手の無知につけ込む悪徳商法の代表例と言えよぅ。
「まぁ要するに、いかにバカを探すかなんだよ。俺がよく狙ってたのは、養護学校や盲
学校の生徒の親。あとは脳神経外科なんかに通院してるやつだな」 
高木(仮名)28才。東海地域で数々の悪業を繰り返してきた元リフォ—厶業者である。
弱者を狙い、土地や財産の全てをしゃぶりつくすその冷酷な手口を、高木は淡々と語り
始めた。俺が初めて訪問販売の世界に飛び込んだのは、18才のとき。もちろん最初は一般家庭に売り歩いたよ。先輩の営業マンに付いて、1台2千円で仕入れた便所の換気扇を1 万5千円で売りつけるんだ。
やり方は点検商法に近いもので、脚立を載せた軽自動車で、住宅街をグルグル回りなが
ら夕ーゲットを探していくわけ。他の訪販業者と同じだよ。狙うのは朝日ソーラーみたいな太陽光温水器とか外壁補修とか、過去に訪販でリフォームを施したことのある家ね。そういう奴らは騙されやすい人だってことだよ。
初めて営業に出た日のことは今でも覚えてる。先輩のベテラン営業マンと住宅街を走ってたら、いきなり先輩が車の窓を開けて、庭いじりしてたオバサンに手を振りながら叫ぶんだ。
『お母さん久しぶり一!』
『あれ、どちらさんだっけ?』
『何言ってんのお母さん、この家を建てたときの業者ですよ一』
ああ、そうなのかって。そのときは納得したんだけど、先輩がその直後に「全部ウソだぞ」って。さすがに驚いたよ。そのオバちゃんとは初対面だし、工事したっていうのもデタラメだったんだ。先輩が言うには、そうやって庭先にいる家主に声をかけると格段に成功率が上がるらしいんだ。
さらに、その家を新築施工した業者を装えば、新規の飛び込み営業よりは家主の反応が
ずっと柔らかくなる。新しく家を建てるときは、電気、配管、ガス、内装屋といくつも業者が出入りするから、いちいち顔なんて覚えてないって言うんだな。
先輩はすぐに車を停めて、オバちゃんと世間話して、「じゃ、点検しておくよ」って感
じで家の中に入ってった。で、速攻トイレに向かい、換気扇の蓋を開けてコイルに刺して電源を入れるわけ。
何してんのかと思ったら、1 分ぐらいでコイルが発熱して焦げてきた。先輩、それを奥
さんに見せて『触ってみてよ』って。当然、『熱っ』ってなるょな。そこで、『危ないから交換した方がいいですょ』と。これ、自分で編み出した裏技なんだって。
その日、先輩は玄関からの飛び込みも含めて7台を取り付けた。で、俺は何もしてない
のに2 万円の手取り。この人についていこうって思うよね。
まぁ俺も元々ロは達者だったからさ。先輩のテクニックを真似てたら、いつの間にか卜
ップの成績になってたけどね。
貯水榷に鳥の死体が浮かんでるよ
2年半で独立した高木は、トイレの便槽の販売で荒稼ぎをはじめる。換気扇の交換に始まり、ウォッシュレットの取り付け、便槽の交換まで、トイレ周りの工事なら可能な限りの契約を取り付けていった。
便槽なんて簡単に壊れるもんじゃないからさ、前の夜に夕ーゲットの家まで行って、自
分たちで穴を開けちゃぅんだ。マンホールの蓋を明けてバールを突っ込んで、ドスンって。そしたらヒビ割れから地下水が入り込んでくるんだ。要は、営業前の«仕込み» だよね。
次の日、新築施工業者の«点検»を装って、マンホールを開けろって迫る。で、『奥さん、穴が開いちゃってますよJ
って驚いてみせる。
たったこれだけで、百万単位の交換工事の契約が取れちゃぅんだ。
でも、壊れにくい便槽が1 日に7 個も売れるのは明らかに異常だわな。そのうち仕入れ業者に«仕込み» の行為を疑われはじめたんだ。まずいな一と思ってたら、結局、客からの苦情がメーカー側に入っちゃって、便槽そのものの仕入れができなくなった。そこであえなく終了だよ。こっちにも客や消費者センターからの苦情がジャンジャンきてた。もちろん、警察に呼ばれることも日常茶飯事でさ。でも一度も逮捕されたことはなかった。警察が言うには、完全な詐欺じゃなくて、詐欺のようなもの。限りなく黒に近いグレーだって。
同じころ、太陽熱温水器に家庭用浄水器の活性炭を勝手に取り付けるっていう強引な仕
事もやってたな。伊藤忠から一個1800円で仕入れて、朝日ソーラーなんかの太陽熱温水器用だと偽って3万8千円で売り歩いてた。
もっとも、実際に取り付ける場所なんてないから、脚立で屋根に上って取り付けてるフ
リしてるだけ。下で奥さんが見てるから、ワザとカンカン音立ててね。しかも活性炭を下にいる相方に投げて、持って帰ってた( 笑) 。
それで1 個に2 、3万だから結構なもんだよ。あと、某メーカーの太陽熱温水器の貯水槽をつけた家の屋根に登って、鳥の羽をブチ込んだこともあった。貯水槽に鳥の死体が浮かんでるょって、濡れた羽を見せたらイチコロ。温水機まるごと交換、ありがとぅざいますってなもんだ。片手間に、瓦屋根用のコーティングもやった。洗車機用のワックスを買ってきて、水で30〜40倍に伸ばす。それを日本瓦にスプレーで塗ると、ビッカビカに光るんだ。塩害地域に行って、10年間の保護剤ですょってことで数十万円でうり歩いたな。
実際には2 力月で消えちゃぅんだけどさ。でも、それだけ派手にやってると、客の数
も足りなくなってくる。どこに行けば金を持ったバカがたくさんいるかなって考えて、頭に浮かんだのが養護学校だった。
たまたま、俺の家の近所にダウン症の子供たちが通ぅ施設があったんだょ。そこに行き
や、バカがいるって思ってたわけ。
学校に迎えに来る親を観察してみたんだけど、みんな普通なんだ。 ら、コレが大当り。例えば、知的障害の子でもあきらめきれなくて、他の養護施設や、供の場合、親は障害を持ってるわけじゃない
盲学校、聾学校なんかにも足を伸ばしてみた んだけど、やっぱりどこか抜けてる感じの人が多いんだ。
奴ら、面白いように騙されてくれた。訪販に慣れてない家ばかりだし、こんにちは一って入っていくと『はあ〜い』って、気の抜けた声が返ってくる。よしってんで、一気に攻めたよ。
いちいち尾行するのも面倒だから、車のナンバーをメモって、陸運局に行ってまとめて
住所を調べてさ。翌日には、新築施工業者を騙って«点検» に入るわけ。
中でも一番稼がせてもらった盲学校がザルだってわかったんだ。どういうわけか、目が見えない子供の親って、盲人のことが多いんだよ。
何しろ相手は目が見えないから、全部こっちの言いなりさ。『お母さん、いま縁の下に
潜ってみたんだけど、風呂場の水が漏れて大変なことになってたよ』って、あらかじめ用意した腐った木の破片を本人に触らせるわけ。ほら、このままだと土台が腐って大変なことになるよって。
ユニットバスにすればバリアフリーだから便利でしょ、とか、いろいろとおいしいこ
と言って300万から400万かかるけどどぅかなって感じで反応をみる。金がなければそんなに払えないってすぐに言ってくるからね。