防犯対策・詐欺の手口

実際にあった詐欺の手口や事件、犯罪者の告白です。防犯対策・防衛のための知識としてお読みいただければと思います。

生活保護の不正受給者の普段の1日に密着

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「仕事?してないよ」
仕事もしてないのに昼間からパチンコですか。いいご身分ですな。
「てゆ-か、生活保護もらってるから」
以前から、生活保護に関するけしからんウワサはちょくちょく耳にしていた。本来は収入のない者に最低限の生活を保障するためのカネなのに、どういうわけだかもらう資格のない者までが手にしているとかなんとか。
平日の昼間からのんきにパチンコを打つ彼女もまた、その種の人間のような気がしてならない。というか絶対そうだろう。
いったい不正受給者たちは、どんな顔をしながら我々の税金を食い散らかしているのか。謝礼を支払うことを条件に、この女性の普段の1日に密着させてもらうことにした。

日曜の朝、森川菜穂(仮名)の自宅へ。教えられた足立区の住所には、小ぎれいなメゾネットタイプのアパートが建っていた。玄関の数の多さからしてそう広くなさそうだが、外観はずいぶんオシャレだ。生活保護のイメージとは程遠い。
チャイムを押しても留守のようだ。はて?7時に行くと約束したのに。
と、外から山本梓に似た茶髪の美人が現れた。
「ごめんなさい。子供あずけてきたから」
菜穂さん本人のようだ。子供がいるってことは母子家庭なのか。にしても、これまた貧困の匂いのカケラもない人だ。むしろ高めのキャバあたりにいてもおかしくないぐらいだ。服装は地味だけど。
「いつもどおりに生活すればいいんですよね?それじゃあ行きますか」
「どこヘですか?」
「パチンコ」
駅の方向へ歩きがてら、まずは彼女の不正の方法を教えてもらうとしよう。まだ誰も不正とは言ってないが、まず間違いなかろう。
「えっと、生活保護はどういう理由でもらってるんですか?」
「うち、離婚してるから」
彼女は今年1月に離婚し、4才と1才の子どもを2人引き取っている。
純然たる母子家庭だ。
しかし母子家庭だからといって誰もが生活保護を受けられるわけでは
ない。条件は、国が定める最低生活収入が下回る者のみだ。彼女の場合それは月8万円以下となる。スーパーのレジでも稼げる額だが…。

「働けない理由でもあるんですか」
「うん、ダンナのDVの後遺症があって…」
「受けてたんですね」
「ってことになってるの」
出ました。やはりそういうことか。働けるけど働けないことにするなんて、グータラ者がいちばん考えそうなことだ。なんでも就業不能を証明するにあたっては、特に医師の診断書はいらず、自己申告のみで済んだそうだ。役所ってのはつくづく甘いところだ。
パチンコ屋に到着するや彼女はいの一番に2円パチンコのコーナーに向かい財布から取り出した1万円を突っ込んだ。一連の慣れた手つきだ。
当たりはこない。だが彼女に悔しがる様子はない。誰かとメールしているのか、台と携帯を交互に見ながら玉を弾くだけだ。ようやく当たりがきた。だがそれでも彼女はあまり興味なさそうにタバコをふかすのみ。何のために打っているのかわからない人である。パチンカーなんてこんなものかもしれないが。
結局、出玉はすべて飲み込まれた。
「なくなりましたけど…」
「そうだね。他の台に行くよ」まだやるんだ。しかも、よりカネがかかる4円パチに向かってるし。次の1万円も釦分ほどで消えてしまった。そし頭財布からはまた次の万札が。他人の税金なんかカネじゃないってか。そういえばさっきからタバコを吸ってるけど、1才の子はまだおっぱいをあげる時期なのでは?確か授乳中のタバコは劇薬だったはずだけど。

しかしそんな心配など、この人には無用だった。
「ミルクは毎日作ってるよ。あたしがタバコ吸うから母乳はあげられないしね」
左様でございますか。無表情のまま同じ台にカネを突っ込むこと1時間あまり。
とりあえずメシでもとファミレスに誘ったところで、ようやく彼女は腰を上げた。ファミレスにて、彼女の口から第二の不正が告白された。離婚したダンナとはいまでも仲が良く、同居こそしていないもののしょっちゅう食事やパチンコに出かけているというのだ。

「一緒に住んでもいいんだけど、ケースワーカーらに見つかるとマズイでしよ」
離婚時は本気で別れたいと願っていたにせよ、今となってはいわば偽装離婚のような結果となっている。

「ダンナが生活費を月に10万くれるから、助かってるのよ」
と、彼女は笑う。
国(と足立区)から受け取る生活保護は、毎月20万強にダンナからも10万。しかもアパートの家賃5万2千円は国が面倒を見ている。つまり彼女ら親子3人は、毎月30万円を自由に使っていい計算になる。あの勢いで万札をつっこめるのもわかる。
悪びれることなく彼女は続けた。
「そうだねえ。生活は10万でできるから、セイホ(生活保護)のお金はパチンコとか服とか、子供のおもちゃに使ってるようなもんだね」
「でもそれってマズくないですかね?」
「だって今まで消費税とかいっぱい払ってるでしよ?もらえる権利はあると思うし、ダメなんだったら申請したときに却下すればよかったんじゃない?」
なんだか根本的な感覚がズレているようだ。
ファミレスを出ると、彼女は一目散にATMコーナーに向かった。財布にはまだ万札あるのに3万円も下ろしてる。
「だってもしやってる途中でカネなくなったらメンドイじゃん」
先ほどの店に戻り、違う台に1万円突っこむ。当たっては飲まれ、当たっては飲まれを繰り返し朝の10時過ぎから昼食をはさみ夕方の6時半までパチンコは続けられた。

「あ、もうやめるよ。5万も負けちやった」
生活保護の額の4分の1を、1日で散財したことになる。

子供を迎えに彼女の実家へ向かった。先ほどのアパートから歩いて10分ほどの一軒家だ。中から50代くらいの母親と可愛らしい子供たちが出てきた。
子供たちはママを見てもなにも言わず、対する彼女も声をかけない。会話はいきなり本日の戦績についてだ。
「あんた、今日はどうだったのよ」
「負けた」
「じゃあアタシが取り返しに行こうかしら」
どういう母子関係だ。親に子どもをあずけてパチンコに興じる娘をなんとも思ってないのだろうか。ないんだろうな。
「ちょっとドンキ寄りますね」
激安の殿堂、ドンキホーテで夕食のオカズを買うそうだ。食事ぐらいはつつましくしているようだ。子供用カートに下の子を入れ、ぐいぐいと店内を進んでいく彼女。混雑とスピードのせいで、4才の娘は追いつけない。しかたないのでオレが手をとる形となった。
「今日は何して遊んでたの?」
「ゲーム」
なんだか母親に似て、表情がない子だ。
「お母さんと買い物にはよく来るの?」
反応はない。単なる人見知りと思っておこう。
コーラを2本カゴに入れた母親は、精肉コーナーへ向かった。鶏肉を過ぎ、豚肉も過ぎ、牛肉のところで足がストップ。2千500円もするしゃぶしゃぶ用の国産霜降り肉をカゴに入れている。オレがいるからって無理してないか?
「え、いつもこれ買ってるけど。牛肉好きだし」
好きなのはいいけど2千500円だ。普通の家でもなかなか手の出ないものだぞ。
「高いほうがおいしいんでしよ?」
さらに、近くにある2切れで千円もするサーロイン肉もカゴに放り投げた。これが生活保護を受けてる人間の買い方か。
コーラ、牛肉、焼き肉のタレ、米、お菓子、乳飲料、卵へなどなどを値札も見ずにカゴに放り込み、会計は7千円を超えた。

アパートにもお邪魔させていただくことにした。玄関から階段をあがってドアを開ける。と、まず目に飛びこんできたのは、馬鹿でかいテレビだ。その下にはDVDプレー
ヤーとCDコンポが。近くには空気清涛機、ソファ、本棚が並んでいる。
一般家庭ならこんなものかもしれない。しかし生活保護の一家にしては、ずいぶんぜいたくな印象である。
ケースワーカーはこんな暮らしをアリと認めているのか?
「そのときが一番大変なんだよ〜。物を全部奥の部屋に運ばなきゃいけないから」
なんでもケースワーカーの自宅訪問はリビングルームまでだけだそうだ。しかも抜き打ちではなく、事前に連絡があり、頻度は2カ月に1回。なのでその日だけ、高級な家財道具を別の部屋に隠せば問題なし、ということらしい。
奥の部屋を開け、度肝を抜かれた。同じくらいの大きさのテレビの前に、マッサージチェアが置いてある。
「あ-、そこはダンナの映画室。アイッ映画好きでさ〜。ウチに来るとだいたいそこでおとなしくしてるよ」

先ほど買った牛肉を『牛角』のタレと一緒に焼いて、夕食を作ってくれた。4才の娘はあいかわらず無言のまま箸を口に運び、1才の子供はミルクを一人で飲んでいる。
郵仮女のケータイが鳴った。話ぶりからして相手は(元?)ダンナのようだ。
「今日負けちゃったよ〜。会いたいから早く来てえ〜。え、ダメなの?わかった…」

タバコをふかして気だるそうにしている彼女に、意地悪な質問をぶつけた。
「いまの生活をこれからも続けていくんですか?」
間髪を置かず、彼女は言う。
「当たり前じゃん。もらえるうちはもらわなきゃ損でしよ。これから子供も大きくなって、もっとお金かかるんだし。そういえば母子加算ってのが復活して、来月くらいから2万ぐらいもらえるかもしれないんだ」
「そのお金はやっぱり…」
「パチンコ参る。勝ったらこの子たちにも色々買ってあげられるし」
その愛情をたっぷり受けた子供たちは、帰り際に挨拶をしてもやはり無言のままだった。