防犯対策・詐欺の手口

実際にあった詐欺の手口や事件、犯罪者の告白です。防犯対策・防衛のための知識としてお読みいただければと思います。

ー枚の転居届でサラ金の督促から逃れた男

f:id:torivian:20190721132013p:plain
免責だ自己破産だと策を弄じるのは性に合わん。かといって金など返せんーと開き直るほどの勇気もない。とにかく、あのシツコイ督促さえ無くなれば、平穏無事に暮らせるのだが

借りた金を返さずに何をホザいている。そんなムシのいい話があるワケないだろう。と思うのは甘い。これから紹介するのは、100万前後の借金を背負いながら、見事、督促を煙にまき、のうのうと暮らしている男たちの話だ。

「配達先不明郵便」で督促がピタリと止んだ

大手サラ金の督促があんなに簡単に振りれきるなんて自分でも意外でしたねえ

佐野氏(25才・仮)は都内在住の元カラオケボックス店員で、自他ともに認めるギャンブル中毒だ。給料はほとんど競馬、パチンコへ注ぎこみ、気がつけば、3社の無人契約機かり80万円を引き出していた。

「ま、それぐらいすぐ返せると思ってましたけど、甘かったですね」

生来の気性の荒さが災いして店長と衝突、店をクビになった後はパチンコ三昧の日々。これでは借金返済など到底ムリな話である。3カ月後、電話も止められた氏の自宅に「お支払いが遅れております」

という督促状が嵐のように舞い込み始める。

「とにかくウザくて困りましたよ。返したくてもカネがないんだから、どうしろってんだうてね」

理不尽にもだんだん怒りを覚え始めた彼は、これを阻止すべくうのプランを実行に移す。自宅の配達局に足を運ぶと窓口で転居届を提出、こう付け加えたのだ。

「引っ越すんだけど、転居先がまだ決まらないんで郵送物は送り返してもらえますか」郵便局によっては新住所が決まるまで保管するとつっばねる所もあろうが、本人が転居を申し出ているのだ。これに逆らうわけにいかない。あとは念を入れて表札を外しおけばあらゆる郵便物が「配達先不明」といっ扱いで送り返されるハズ

狙いは敵中した。手続きを施して以来、督促状がピタリと来なくなったのだ。それでも普通、サラ金の人が調べにくると思うでしょ。けど、ーカ月、2カ月経っても誰も現れない。もうここに住んでないって判断したんですかね。あまりにもアッサリしていて拍子抜けしちゃいましたよ

現在も氏が自宅でのうのうと生活していることを考えれば、結果としてー枚の転居届で督促自体が終了してしまったということになろう。が、果たして現実にそんなことがまかり通るのか。某大手消費者金融で、回収業務に携わっているA氏はこう語る。

「ま、いわゆるテレビCMなんかやってるとこなんてそんなもんです。手紙が返ってきたら、ああ、逃げたんだなって。それ以上は深追いしませんね」

やられっばなしで泣き寝入り。大手サラ金の督促は甘いと聞くが、まさかこれほどとは。
単に損益の問題です。一番金のかからない督促は電話で、次に督促状。だいたいはこれだけでカタをつけます。そりゃ額にもよりますけど、20-30万ぽっちで、わざわざカミ(住民票)あげたり、人を送ってたらキリがありません。

企業の利潤を考えたらサッサと新規の客を見つけた方がマシってことで。まもっとも、これはあくまで大手に限定された話。不良債権を極力抑えたい中小の金融業者は住民票をあげ、しつこく自宅へ督促をかけてくることをお忘れなく。

【債務者アパート】にダミーの転入届け

次に登場を願ったのは、北関東在住の本沢氏(32才・仮)。サラ金4社から150万円をツマんだ人物だ。もともと「酒もギャンブルもほどほど」で借金と毎縁の生活を送っていた彼だが、ある女性との出会いによって大きく運命を変えられてしまう。

「スナックの女に生活費だなんだって10万ずつぐらいせびられましてね。自分は真剣に付き合ってるつもりでしたから…。ま、いいカモだったってコトですか」

気がつけば女はドロン。残ったのは150万の借金だけという、同じ男として同情を禁じえない悲惨な状況に陥る。

「3カ月ぐらいはマジメに返していたんですが、アホらしくなってね。別にオレが使ったカネじゃないですもん」

いっそトンズラしてしまおうかと思ったが、今の生活を捨てるのも覚悟がいる。

「で、街金をやっていた友人に相談を書かけたところ、債務者アパートの存在を教えてもらったんですよ」

債務者アパートとは、多額の負債を抱えた者が借金取りを撹乱させるために、ダミーの住民票を置いておく為の住まいのことだ。

「サラ金の督促は契約時の住所に向けられると思うでしょ。でも友人が言うには、取り立ての人間は原則として最後の住所だけに足を運ぶ、と。つまり、そのときに住民票が置いてある場所が重要なんですよ」
少し前に団体の信者が身分を偽ってアパートの一室に道場を開いていた、なんて話を覚えているだろうか。

実際は生活していないにもかかわらず狭い一室に十数人の住民票。ひどいときは空き部屋にまで勝手に届けが出されていた。当然、大家や役所は知る由もない。というより、チェックしようがなかった。

氏はさっそく、そんな物件探しにとりかかる。現所は空き部屋ならどこでもいい。過去の住人の郵便物が山積みになってればベストかな。重要なのは、汚くてボ口いこと。一番の狙いは督促にきた人を絶望させることですから。

「こんなヒドイ暮らしならカネだって無いだろうてあきらめさせなきゃいけない」

ほどなく、氏は埼玉県x市にそれらの条件をみたす木造アパートを発見、空き家に転居届を提出する。そして万全を期すため、自宅を出て友人宅に潜伏、いよいよ返済を滞こらせ始める。半信半疑なところもあったんですが、3カ月ほどたって自宅に帰ったら、何もない。

「そろそろ半年経ちますけど、サラ金の人間はおろか、督促状すら来ませんから」

この偽装エ作を都内の中堅金融会社で融資から回収までを担当するB氏(35)は次のように分析する。

「正直、ここまで手のこんだことをされたら、もっお手上げですよ。足取りがプツリと消えたわけだから。昔は戸籍まであげてたどったもんですが、そんなことするのは闇金ぐらい。あと、我々がやるのは、そこから住民票が動くのを見張るぐらいですよ」

ここまで読んで、みなさんはこう思うだろう。督促なんてチョ口イもんだ。こんな借り手市場ならばドーンとツマんでサラッとかわせばいい、と。しかし、オイシイことばかりではないのが現実だ

B氏は言う。負け惜しみじゃありませんが、こんな手が使えるのは一回限りですよ。しかも、新規の客でいいとこ100万が限度。大きな借金がしたければそれなりに実績がないとムリなんで。

「例えば私は、ブラックの人間には貸しますが、ホワイトには融資しません。ブラック
といえど立派な実績ですからーただ、そういう人間への督促はそんなに甘くありませんから。まあ、ビギナーズラックって考えた方がいいですよ、これは」