防犯対策・詐欺の手口

実際にあった詐欺の手口や事件、犯罪者の告白です。防犯対策・防衛のための知識としてお読みいただければと思います。

クレーマーじゃなくとも正式なクレームはした方が良い

仕事柄、地方へ出張する機会が多いオレは、その都度ビジネスホテルやシティホテルへ連泊する。取材で夜遅くまで動き回り、ホテルの机で朝まで原稿作成。翌日の起床は、当然昼過ぎだ。

いつもそんな調子だから、チェックインの際は必ず「昼過ぎまで寝たいので、絶対に起さないでください」とフロントに申し出ることを忘れない。部屋のドアノブに『DontDisturb』のフタを掲げておけば事足りると思う方がいるかもしれないか、甘い。実際のところ『起こさないでくれ』といくら頼んでも、朝10時ごろになると、ズカズカと部屋に入ってくる掃除のオバチャンが少なくないのだ。

ー年前、熊本のMホテルに泊まったときのことだ。いつものようにフロントに「絶対に起さないでください」と念を押したにもかかわらず、翌朝、掃除のオバチャンが勝手に鍵を開けて部屋に入ってきた。

安眠を邪魔されたオレは怒り爆発、すぐさまフロントに電話を入れた。

「いったいどういうことですか」

「大変申し訳ありません。当ホテルのミスです。掃除の業者とフロントで引継ぎがうまく行かなかったみたいで、本当に申しわけありません」
ひたすら謝る従業員に、少し気分が収まった。ただ、オレは一度起されるとすぐに寝つけないナーバスな人間。貴重な睡眠時間を妨害されることほど不愉快なことはない。改めてそのことをフロントに申し伝え、電話を切った。

その日の夜遅く、外出先から戻ると部屋のテーブル上にワープ口で書かれた支配人名義の詫び状が置いてあった。内容は従業員が言っていたこととほぼ同じで、清掃業者との引継ぎの不味さが原因とのこと。

最後は「二度とこのようなことか無いよう厳重に注意いたします」で閉められていた。ここまで丁寧な詫び文を寄越されては、もう何も文句はない。オレは別段クレーマーじゃない。わかってくれればそれでいいのだ。
しかし…。朝、オレは目を疑った。なんとまたしても掃除のオバチャンが無断で部屋
に入ってきたのだ。ウソだろーさすがにオレはキレ、支配人を呼び出した。

「アンタ、人をバカにするのもいいかげんにしろよー」

詫び状をヒラヒラさせながら文句を垂れるオレに「申し訳ごさいません」と平謝りの支配人。そりゃそうだろ。前日苦心して書き上げた詫び状を完全に否定することをやってしまったわけだから…。

「あのさー、そうやって謝られても、もう遅いの」

「申し訳ございません」

「正直言って、これ以上いたくないんだよ。もう一泊する予定だったけど、今からチェックアウトさせてもらうから」

「あういや…その」

「何か文句あるの?」

「いや・・あの森様。それでは・・」
支配人はしどろもどろになりながら、一つの提案をオレに示した。2泊分の宿泊費を無料にするので、どうかご勘弁いただけないか、と。正直、驚いた。オレとしてはキャンセル料は払わないぞ、ぐらいの気持ちでいたのに、それが宿泊代タダとは。現金なオレは、すぐにその申し出を受け入れた。

それから1年。今度は仙台のWホテルで同じような体験をした。例によって「起さないでください」のフダをかけていたにもかかわらずオバチャンが入ってきて、オレがフロントに文句を言う。すると、

「森さま、大変失礼致しました。実はお部屋の方なんですが、少し広いタイプに替えてごさいます。料金はシングルのままで結構ですから、ゆっくりとおくつろぎください」このことばに、例によって態度をコ口っと変身。鍵を受取り部屋に入って見ると、なんとそこはシングルより10倍は広いであろうスイートルームー・こんな高級な部屋にオレ1人で泊まっていいんだろうか。なんてことは微塵も思わず、オレは最初で最後かもしれぬスイートルームライフを心ゆくまで満喫させてもらった。
クレームうで宿泊代がタになったり、シングルスイートに変わったり。
まったくもってオイシイ話ではあるが、オレとしてはホテル側が朝起こさずにいてくれれば、何らクレームを付けるつもりなどないのだ。そこをワケのわからない対応をするから…。
皆さんもホテル側に落ち度があった場合、遠慮せずにビシビシとクレームを付けた方がいい。客の評判をことのほか気にする商売ゆえ、何か思わぬ特典が得られるかもしれない。