防犯対策・詐欺の手口

実際にあった詐欺の手口や事件、犯罪者の告白です。防犯対策・防衛のための知識としてお読みいただければと思います。

万が一逮捕された時の警察への対応方法

「アウトローは常に最悪を想定して行動する」とは、ヤクザ組長の息子にして、グリコ・森永事件の《キッネ目の男》とも疑われる、宮崎学氏(作家)の言葉である。アウトローにとって、自分自身の逮捕は想定される最悪のケースのーつに違いない。それがため、宮崎氏ほどの大物でなくても、常日頃から準備にヌカりないだろう。

逮捕は、一般人にとっても意外に身近な存在だ。最近、増えている痴漢菟罪のケースでも、毎日、満員電車に揺られるサラリーマンなら、いつ自分が当事者になってもおかしくない。さらに、スピード違反などの交通違反でも、ときには逮捕される場合がある。《逮捕》に関する知識を身につけることは、今や一般人にとっても必要不可欠な事柄なのだ。私は12年間の取材活動を通じ、いろいろな逮捕経験者と知り合った。暴力団関係者、元警察官、主婦、学生など、職業や年齢は様々である。しかし、その誰もが警察に逮捕され、勾留される辛さは経験者しかわからないと口を揃える。

いちばん辛いのが《先の見えないこと》。

「いつ、どうすれば、自分がしゃばへ出られるのかわからない」のが極めて苦しいと言うのだ。結果、取調官の甘い言葉に乗せられ、虚偽あるいは不利な調書を取られてしまい、かえって社会復帰が遅れるケースも多い。ここでは、「逮捕から「勾留」「取り調べ」」「起訴」「公判」という流れを押さえながら、場面ごとに、どう対応するのが最良かを考えてみよう。ある程度は《先が見える》はずだ。
逮捕とにもかくにも弁護士を
逮捕には「通常逮捕」「緊急逮捕」「現行犯逮捕」の3種類がある。それぞれの中身は次のとおりだ。

●通常逮捕ー警察官や検察官の請求により、裁判官が「逮捕状」を発付して行う。

●緊急逮捕ー死刑、無期、3年以上の懲役や禁固にあたる罪が犯されたと足る十分な理由がある場合で、裁判官の時間的な余裕がないとき、行われる。緊急逮捕後、裁判官の「逮捕状」を求めるが、認められない場合、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
●現行犯逮捕ー現在、犯行に及んでいる者や犯行終了時の者を逮捕すること。そのほか、犯行直後で、次のような場合も「現行犯」と見なされる。

①「ドロボウー」などと呼ばれ、追いかけられているとき

②盗品や犯行に使用したと思われる凶器などを持っているとき

③身体や衣服に犯行の明らかな痕跡があるとき

④名などを尋ねられ、逃げ出したとき

以上3種の逮捕では、いずれも逮捕の後、被疑者は警察署など捜査機関の施設へ連行される。自らが被疑者となった場合は、ここですぐに弁護士を呼ぶべきだ。警察官や検察は法律のプロ。彼らを相手に素人が単独で立ち向かうのは無謀極まりない。いいように扱われ、必要以上の刑事罰を負わされるのがオチだ。また、逮捕直後は気が動転しているのが通常だから、客観的な第三者のアドバイスを受け、落ち着く必要がある。しかも、逮捕されてから勾留が決まるまでは弁護士以外とは面会できないのだ。とはいえ、「弁護士に知り合いなんていない」という被疑者が大半だろう。そういう場合は「当番弁護士制度」を利用すればいい。そして重要なのは、弁護士が駆けつけるまで、調書の作成に応じないことだ。取調官は、弁護士がアドバイスする前に、なんとか自分たちに都合のよい調書を取ろうとする。
話を聞くだサは真っ赤なウソ
任意同行という言葉はニュースでもよく聞く。本来、任意ー本人の自由な意志で、警察署などへ「同行」してもらうという意味だ。ところが、警察が行う任意同行は、全然「任意」ではなく、実質的な「逮捕(身体の拘東)として使われることがよくある。

私自身の経験で説明しよう。私と写真週刊誌のカメラマンは、秋田地方検事の官舎の近くで張り込んでいた。その次席検事が地元の女性新聞記者らに、たび重なる強制わいせつを働いていることが判明、直撃取材を試みようとしたのだ一事実、写真週刊誌に記事が掲載された後、次席検事は1カ月の停職処分となり、辞職した。

出勤するため、官舎から出てきた次席検事に私がインタビューし、カメラマンが写真を撮る。と、次席検事は逆上し、カメラマンにつかみかかった。私が「暴力はやめてください」と大声で叫び次席検事の上着を引っ張ったが、何の効果もない。しかたなく、次席検事の両方の二の腕あたりをつかみ、カメラマンから引き離すと、カメラマンがさらに何枚かを撮影。途端に次席検事は「警察を呼んでやるー」と叫ぶや官舎へ。とりあえず、カメラマンにはフィルム持参で現場から立ち去ってもらった。

しばらくして、秋田署刑事第1課の警察ら10名ほどが現場に登場、

「寺沢さん、任意同行しますと言いながら私を両脇から抱え、警察車両のほうへ引っ張った。「任意同行は拒否します。手を離してください」と言っても意に介さない。ついに、私は「これのどこが任意同行なんだよ」と怒鳴ると、警察官の1人は「任意同行のほうがお互いのためだ」などとうそぶいた(もっとも、私は何ら罪を犯していないのだから、逮捕のしようがない)。

屋根に手をかけるなどして抵抗したものの、警察官数名から殴る蹴るなどされ、むりやり車の中へ。このとき、私は右手首に全治2週間のケガ(打撲と切り傷)を負った。調書を書くまで警察署から帰れない秋田署の取調室に入れられるなり、私は「弁護士を呼んでください」と要求した。たまたま秋田市内に知り合いの弁護士がいたのである。しかし

「あなたに事情を聞きたいだけ。逮捕されたわけでもないから弁護士は呼ぶ必要がない」という。

「弁護士を呼べ」「よばない」という応酬が続き、私はアタッシュケースからノートを取り出し『事務所に電話をかけてほしい』と明記。警察官に、それを見せながらあなたはどう答えるんですかと尋ねる。しばらくの沈黙後、出た答は「(玄関の)公衆電話でかけてください」というのだった。

知り合いの弁護士は午前中に裁判があったが、3時間ほどで秋田署へ到着。任意同行なら引き揚げるのも自由のはずと当然の権利を主張し、私を警察署から連れ出してくれた。その間、警察は「あなたが次席検事に暴行したのではないか」と的はずれな追及を行い、調書への署名を求めた。私が弁護士を呼ばなければ、いつ秋田署から解放されたかわからない。おそらく警察は「自分が次席検事に暴行を如えました」という調書に署名するまで(勝手に作文するので、被疑者は署名だけすれば、目白調書が完成する)外へ出すつもりはなかったのだろう。

このような「任意同行」に名を借りた軍実上の逮捕の場合も、各地の弁護士会へ電話し(警察官に電話させ)、当番弁護士を派遺してもらおう。そもそも「任意同行」で警察署などへ連れてこられた被疑者は、いつでも自由に退去できるはずだが、現実はそう甘くない。

過去、徹夜や宿泊を伴う長時間の「任意」の取り調べが、裁判所により違法とされたケースも散見される。かくいう私自身の事件でも、違法な「任意同行」、取り調べとして、訴訟を提起したが、第1審(秋田地方裁判所)も第2審(仙台高等裁判所秋田支部)もさらに最高裁も、次のような理由で拒否した。

「警察官らはこれ(暴行)を否認しており、控訴人(私)に対して右のような暴行を如えたという主張に関しては、控訴人のこれら供述以外に証拠が存在しない。(中略)控訴人の供述には十分な信用を措(お)きがたい」

〈第2審判決より〉私は秋田署に「任意同行」されてから、「あなた方の暴行で右手首をケガした」と抗議し、警察官がその写真まで撮っているのだ(証拠として法廷へ提出した)。にもかかわらず、どうすれば、このような判決が書けるのだろう。先に「裁判官はほぼ100パーセント、捜査機関からの請求どおり、『逮捕状』を発付している。つまり、裁判官は捜査機関のチェック機能を果たしていない」と指摘したが、それは「任意同行」という「事実上の逮捕の場合は同様なのだ。
《見せしめの拘留》も日常茶飯事確実性が高くなければ釈放されるはすが…「逮捕」以後の手続きは、次のとおりだ。

察官が逮捕した場合
被疑者に弁解の機会を与え、身柄か拘東する必要がないと考えるときは、直ちに釈放
回身柄の拘東が必要と考えるときは、48時間以内に、書類や証拠物とともに被疑者を検札へ送致する。

検察官は被疑者に弁解の機会を与え、身柄を拘束する必要がないと考えるときは、直ちに釈放する。拘束が必要と考えるときは、24時間以内に、裁判官に拘留を請求するか、起訴する。そうしなければ、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
検察官が逮捕した場合は③から手続きが始められるが、起訴までの制限時間は48時間と定められている。軽微な犯罪では、警窒昌や検察官が身柄の拘東を必要と考えず、釈放することもしばしば。ただし、そのようなケースでは、逮捕自体が不必要と思われることも少なくない。例えば、警察官に交通違反で捕まり、口答えしたら逮捕されたという事例。これなど、まさに「見せしめのための逮捕」以外の何ものでもない。

法律上、許されてないはずが、現実に横行している。続いて、「勾留」について説明しよう。検察官が裁判官に勾留を請求し、それが認められると、被疑者は最大10日間、身柄を拘束される。

要件は「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」があり、かつ「住居不定か「逃亡や証拠隠滅のおそれ」がある場合だ。外見上、逮捕の要件と変わりないが、勾留のほうがより確実性が高くなければいけないはずで、勾留の要件に該当しても確実な身元引受人がいる場合などは「勾留の必要性がない」として釈放も認められる。つまり法律では、「取り調べ」や「見せしめ」のための勾留は認められていない。が、現実にこのような目的の勾留は日常茶飯事。書くのも嫌になるが、同様の逮捕が横行しているのと理由は一緒だ。
弁護士を専任して警察の動向をチェック

10日間拘留の後、警察はさらに最大10日間、延長することが可能だ。実際は「取り調べ」や「見せしめ」が目的でも、裁判官はあっさり認めてしまう(表面上はもっともらしい理由が付されているが)。

もちろん、被疑者が勾留に対抗する手段も用意されている。一つは、勾留理由の開示だ。被疑者や弁護人などの請求があれば、裁判官は公開の法廷で勾留理由を開示しなければならず、被疑者や弁護人は「こんな不当な理由で身柄を拘束されている」とアピールするチャンスを与えられる。

二つ目が「準抗告」で、裁判所に勾留を取り消すよう不服申し立てを行うもの。勾留を認めた裁判官とは別の「合議体」(裁判長1人、裁判官2人)により、勾留の可否を改めて検討し直してくれる。

その他、事情が変化して、勾留の理由や必要がなくなれば裁判官に勾留の取り消しを請求することも可能だ。また、病気で治療が必要だったり、家族が死亡して帰らなければならないなど、裁判官が勾留の執行を停止することもある。いずれにしても、これら法律手続きは弁護士に依頼しなければならない。日本弁護士連合会の報酬等基準規程によれば、刑事事件の着手金は20万円以上、報酬は結果(罪、執行猶予、不起訴など)いかんで、着手金と同額以上が相場だ。捜査機関に身やて拘束されていれば働くこともできないが、たとえ借金をしてでも、弁護士を頼んだほうが得策だろう。
自分の言い分はしっかり主張し、その上で反省を表す態度が必要だ。謝ってばかりいれば自分だけが悪者となり、かえって情状酌量の余地がないと判断される可能性も否めないのだ。また、被疑者が罪を認めており、その刑が50万円以下の罰金等に該当すれば、「略式手続き」が行われる可能性が高い。
裁判の期日は事件によってケースバイケース。覚醒剤の公判は、1回で審理が修了し、その30分後に判決が言い渡されることもある。また反対に、事件が複雑になればなるほど何年かかるかわからないものも多い。日本では三審制が採られているため、地方裁判所での判決が不服なら高等裁判所へ控訴、それでも不満なら最高裁判所に上告できる。よって、地裁や高裁の判決が刑を確定するのではなく、最高裁の判決が言い渡されるか、控訴をあきらめた時点で刑は確定する。