防犯対策・詐欺の手口

実際にあった詐欺の手口や事件、犯罪者の告白です。防犯対策・防衛のための知識としてお読みいただければと思います。

生活保護の受給条件を不正でかいくぐる輩たち

働かずして食う手段とは?
と問われ、真っ先に「生活保護」を頭に浮かべた人も少なくないのではなかろうか。
ご存知の方も多いだろうが、
「生活保護」とは、生活に困窮するすべての国民に対し、最低限の生活の保障を目的とした公的な援助制度のこと。各自治体の福祉事務所を窓口とし、対象者に金銭的援助などを行うのがその目的である。
日常生活に必要な衣食費、家賃・住宅費、教育費、医療・出産費、さらには葬式の費用まで、保護費用はあらゆる分野に及ぶ。金額は居住地域や年齢、本人の家庭事情などにより多少異なるが、例えば都内に住む40才以下の独身男性で月額約14万円。標準3人世帯(40代男性・30代女性・4才子)なら約17万円程度に設定されている。
生活保護が受けられる条件は、預貯金がゼロ(生命保険、固定資産も含む)、何かの理由で働けない、扶養義務者(家族、親類など)の助けを得られない、の3つ受給希望者が福祉課のケースワーカーと呼ばれる担当者と面談した際に、すべての条件をクリアしていれば承認となる。
ただし、支給期間中に仕事を始めたり、何らか所得や年金があった場合は福祉事務所に申告するのが決まりだ。
一見すれば、実に理にかなった制度のように思えるが、何ごとにも抜け道があるのが世の常。生活保護も然りで、制度の網をかいくぐって不正に給与を受け取っている輩は年間数千件にも上るらしい.
「私の知る限りでも不正受給者はたくさんいますね。保護を受けながらアルバイトで稼ぐなんて話もざらですよ。しかもその数は年々増えているんです」そう語る竹内氏(仮名)は数年前、某地方自治体の福祉事務所長を勤めた経験をもつ人物だ。在任した2年間、多くの不正受給者を目の当たりにしてきたという氏に、不正受給の手口について聞いてみた。
冒頭で触れたとおり、生活保護の受給には3つの条件がある。中でも重要なのが《預貯金がゼロ》という項目。もしも、本人の口座に預貯金が認められた場合には、すべて生活費にまわさなくてはならない。
「でも隠すのは簡単です。本人の預金は全部使いきったことにして、別名義の口座を作っておく。それが面倒なら現金を自分の部屋の中に置いてもいい。これだけでバレないと思います」
調査といっても、所轄の銀行で本人の資産の有無を確認するだけのこと。司法的な捜査とは違い、福祉事務所はそれ以上の権限を持ちあわせていない。

「扶養義務者の調査にしても、本人が事前に生活保護を受ける事実を、家族や親戚に連絡して、口裏を合わせてもらえば、まずわからないでしょうね」
福祉事務所が受給者本人の扶養義務者を探すがそこで身内が皆「援助できない」と言えば、公的援助である生活保護に頼るしかないという筋が通るというワケだ。
ただし、扶養義務者に援助を断られても、事務所側は調査を一度で終わることはない。「扶蓑義務調査」というシステムがそれだが、年に一度、担当ケースワーカーが扶養義務者の元へ直接赴き「(受給者の)援助をしてくれないか」と頼みに行くのだ。
「だから、中には毎年のように身内にお願いの電話をかけてる人もいるみたいですよ。福祉事務所からすればトンでもない話だけど、深くは追及できませんからね」
『就労不能』と書かれた診断書を入手する
では最後の条件、病気などの理由で働けず、十分な収入が得られない状態》を、不正受給者たちはどうかいくぐっているのか。
生活保護の基本理念に「働ける者は能力に応じて働かねばならない」というものがある。つまり体の動く人間は何もせずには金を入手できないという理屈だが、これを逆に考えたら、能力が無いことさえ証明すればいいように思えるのだが…。
竹内氏によれば、受給希望者は目視で体の障害が確認できた者や高齢者を除き、所定の病院で検診を受けるよう命令されるのが通例という。つまり体のどこが悪いのか、本当に働けないほど深刻なのか、病院で検査を受けて確めなさいというワケだ。
「そこで一就労不能一と書かれた診断書を、医者からもらってくるんです。たとえレントゲンや血液検査の結果が異常無しだとしても、本人が具合が悪いと言えば診断書を書きますよ。坐骨神経痛だろうが関節痛だろうが、本人が痛いって言ってるんですから。昔であれば、コレくらい大丈夫だろ、痛くないはずだって言う医者もいただろうけど、今そんなこと言ったら社会問題ですからね」
結果、医師は患者本人からどうしても痛いと自訴された場合、病的な判断の他に精神的な要因も含めて就労できないと回答せざるをえない。中でも一番難しい例は精神障害を装われた場合で、目で見てわかる疾患と違い精神病は自己申告だけで通ることが多いらしい。
「以前あった話で、性格に問題ありって人物もいましたね。その男性は日常生活のあらゆる場面で訴訟を起こさずにはいられないらしくて。これも一種の精神病なんだろうけど、なにせ性格だから治せないって医者は言っていました。その男、結果的には保護費を利用して裁判費用を払っていたんですから」
働けないのか働かないのか、その暖昧な判断基準を決めるのは至難の技のようだ。
生活保護にすがる人を疑うのはおかしい
竹内氏の話を聞いていると、3つの条件もやり方しだいでクリアできそうにも思えるが、たとえ運よく受給が決定しても、
その後にお気楽な生活が待ち受けてるわけではない。この制度は、あくまで最低限の生活に足りない部分を補うためのもの。年金と違い、死ぬまで保証してくれないのだ。
「年に2回以上はケースワーカーが主治医訪問をしています。そこで受給者の病状が緩和されていれば働くように持ちかける。病気を治すために生活保護を受けてるわけですからね」
ただし竹内氏の話では、それとて自己申告によるもので、本人が病状の改善がまったくないと言い張れば給付を止めるわけにはいかないらしい。医師側も、自分で書いた診断書にいちゃもんをつけられていい顔はしないだろう。
もちろん本人自ら働けるようになりました

と申告して給付をストップさせる例もなくはないが、大半は黙ったまま恩恵を受けているのが現状のようだ。