防犯対策・詐欺の手口

実際にあった詐欺の手口や事件、犯罪者の告白です。防犯対策・防衛のための知識としてお読みいただければと思います。

観光会社の運転手、勝手にバスを使って小遣い稼ぎ白バス行為で逮捕

事業免許を持たずに観光バスを運転、運賃を取る白バス行為を働いていた東京都武蔵村山市在住のY(52才)が、道路運送法違反の疑いで逮捕された。この男、本業も会社の雇われ運転手で、休日を利用してはせっせと客を集め、自分で買い付けた大型バスで裏稼業を続けていた。
250万の中古バスで都内から山口まで運転
都内のある観光会社でバスの運転手をしていたYが、ちょっとした小遣い稼ぎにでもなればと白バス稼業を始めたのは、かれこれ10年前のこと。

「なあなあ、ちょっと聞いてよ。オレさあ、実はバス持ってんだけど、アンタの近所でそろって温泉でも行く予定ない?ないならこれから計画すればいいじゃないか。旅行会社を通したツアーなんかより安く運んでやるからさあ」

近所の居酒屋やスナックに出かけては、顔見知りになったオヤジたち相手に熱心な営業トークを展開するY。脈がありそうな相手に名前と連絡先を教えると、予想以上に依頼が舞い込んできた。

「あ、Yさん?来週、仲間12人ほどと山梨にフドウ狩りに行きたいんだけど、ー台お願いしちゃっていいかな」

「今度さあ、野球の試合が千葉のグラウンドであるんだ。チームの連中を運んでくれると助かるんだけど」

依頼は出勤日に重ならない限りすべて引き受けた。当日は国分寺に借りた駐車場までバスを取りに行っては客を出迎える。満席になろうとなるまいと仕事はキッチリこなし、料金は客のいい値。これで人気が出ないはずがない。

「白髪頭の人のいいオジさんでね、ジャンパーひっかけてさっそうと運転するんだ。そりゃ、乗用車で分乗して出掛けるより楽でいいさ。金にもガメつくないし、なかなか重宝してたよ」(利用客のー人)良心的な運び屋としてYの評判は徐々に広がり、多摩地域のあちこちにお客さんが出来た。

〈いやー、こんなに仕事が入るならバスもしっかりしたものに買いかえなきゃな。メンテナンスも手を抜けないし。そうそう、行き先でカイドできるように勉強もしておかないとな〉

パクられるまでにYが買った大型バスは合計4台。最新車両は2年半前、山古ショップで250万円を出して購入している。シャレのつもりか、本当に“白いバス“だったという。44才で観光会社を辞めた後も、飲み屋での営業活動を続けて顧客を開拓した。ここ数年は埼玉県入間市の印刷関連会社で社員を送り迎えするアルバイトの運転手をしながら、休日も馬車馬のごとく海へ山へ温泉へと走り回った。

夏から秋にかけての働きぶりを見てみると、6月/3回、7月/4回、8月/3回、9月/ー回。10月には5回も出動している。都内や千葉に始まり、静岡、群馬、遠くは山口の萩まで出かける熱の入れようだ。この時期に受け取った額は100万円を超えたという。が、このシャカリキが災いした。

「あれは法律違反じゃないのか」との情報が入り、内偵がスタート。6月から10月までの白バス行為が容疑事実となり、11月に逮捕と相成った。Yは調べに対し、ションボリ語った。

「正規に免許をもらってやるとなれば諸経費なんかが必要になってくるでしょ。だから、こっそりやれば小遣い銭ぐらいになると思ったんですよ。10年ですか。そうで
すねえ、かれこれ数千万円は稼いだかもしれません。でもね、バスの購入代や修理代、それに駐車場代やら結構かかってるんですよ。残りも全部生活費で消えちゃいました」独り身で、実際に生活もつつましかったという。金云々よりも、大勢と行く休日のドライブが何より楽しみだったのかもしれない。
「お客さん、寝ましたか?寝ちゃいましたよね」
法律違反ではあったが、客を悦ばせていたYの行為はまだ微笑ましいと言える。