防犯対策・詐欺の手口

実際にあった詐欺の手口や事件、犯罪者の告白です。防犯対策・防衛のための知識としてお読みいただければと思います。

女を風俗に売り飛ばす典型的な手口にご注意

19才の少女A子を250万円で売り飛ばし、芸者置き屋で働かせていた人身売買グループが逮捕された。A子は、交際していた男性に「オレのために働いてくれないか」と持ちかけられ、岐阜県恵那市の置き屋で3カ月間、芸者暮らしをしていたという。

「日本舞踊を習ったり、マトモだったよ。けど、そうは言っても、着物や化粧なんか色々面倒でしょ。門限や外出規制なんか厳しいみたいでね。今のコにはなかなか勤まらず何人も入っては辞めてるよ」

近所の住人がこう語る『K』は、営業30年以上という地元でも屈指の老舗だった。経営者は51才の女性・加代子(仮名)。元々、彼女は、裸一貫で事業を興し、クラブ、ラウンジの経営からコンパニオンの派遣まで、多角経営で知られるヤリ手だったという。
「借金をなくすために置き屋で働いてくれ」
事件の発端は昨年の夏に遡る。

愛知県知多郡に住むA子は名古屋市近郊のキャバクラに勤め始めた。そこで知り合ったのが同店マネージャーのB(25才)だ。2人は意気投合し、デートを重ねていく。

「好きだよ。愛してる」Bは何度も甘い言葉をささやき、A子の気を引いた。そればかりでなく、身の回りの世話をこまごまとこなし、一途に尽くし続ける(やがて2人は将来を誓い合うようにまでなった。)

何もかも順調だったある日、突然、Bは神妙な顔つきになりA子に別れを切り出した。「えっ、どうして?なんで別れなきゃならないの」

「実は俺、借金があるんだ。だから、やっぱり一緒になることはできない。キミには迷惑をかけてしまうだろう。そんなことオレには耐えられないから別れよう」女を風呂に沈める典型的な手口である。彼女は借金くらいで別れたくないーーとこれを拒否。Bの思惑にまんまとハマる。
実は、Bは暴力団が絡んだ人身売買組織のメンバーで、自分がオトした女を置き屋などに売り飛ばす黒幕だった。給料の前借りという形で借金を負わせ、生かさず殺さず女性を操っていたのだ。A子は当初

「自分のために置き屋で働いてくれ」

という申し出を嫌がった。住み込み生活は、他の芸者との集団生活を強いられる。そして何より、地元を離れBに会えなくなるのが耐えられなかったのだ。
「大丈夫。半年間だけだから。オレの借金もなくなるし、そのときは迎えに行くよ」

執勘な説得により、A子がしぶしぶ置き屋行きを了承したのは10月ころ。Bはさっそく「仕事を紹介してくれる人」と、36才の暴力団幹部と20才の女性を呼び、3人で彼女を岐阜県恵那市にある置き屋『K』に連れていく。BらがKから受け取った金額は250万円。女を置き去りにした後で、3人で山分けしたという。残されたA子は不安でいっぱいだった。が、「売春はさせない」「芸は一生の財産になる」という女将、加代子の言葉を信じ、他の10人の芸妓たちと一緒に共同生活に入る。

芸妓としての暮らしはまず、化粧の仕方から始まった。そして、ある程度、踊りが上達すると、恵那峡温泉にあるホテルの宴会場などにも駆り出されるようになった。ホテル関係者は言う

「A子ちゃんは和服の似合う、大人しそうな美人だった。」

「彼氏がいる」「休みの日はデート」と口癖のようにいっていて、今どきの子だなあと思いました。お座敷の花代は2時間1万8千円。2カ月間で稼いだのは合計70万円だった。が、このうち45万円は、加代子がA子の承諾なしに借金返済分として相殺していた。さらに加代子は追い討ちをかけるように、着物や化粧代を自腹で払うよう命じる。これでは借金など減るワケない。A子は次第に不信感を募らせ、今年2月、「外出する」と嘘をつくとそのまま自宅まで逃げ帰ったのだった。
A子から話を聞いた両親はさっそく愛知県警に相談する。結果、加代子については労働基準法違反(前借金の相殺の禁止)、Bを含めた3人については職業安定法違反(無料職業紹介事業)の疑いがあるとして、同県警少年課福祉犯罪対策室と半田、知多署は4人の逮捕状を取ることにした。

「Bさんはどうなるの?」彼女はこの期に及んでも未練を残していた。

「必ず迎えに行く」という男の言葉を信じて、自らの意思で置き屋へ行ったのだ。約束を反故にしたのでは申し訳がたたない、と考えたのだろう。
しかし、その後の警察の調べでやっと目を覚ます。Bが延べ数十人に及ぶ女性たちを同様の手口で置き屋に紹介した容疑が浮上したのだ。しかも、A子が置き屋にいる間、借金を返済するため一生懸命働いているハズのキャバクラはすでに辞め、風俗店店員に転職。挙句の果てに現在は住所不定のプータローに身を落としていた。

「許せない」当然A子は怒ったが、しょせん後の祭りだ。5月17日、置き屋経営者の加代子、暴力団幹部と知人女性の3人がまず遺捕された。住所不定のBはー人だけ指名手配をくらい、その日のタ方に身元を確認され、駆けつけた警察官に捕まった。その後の調べに対し、Bを始めA子を売り飛ばした3人は容疑を認める。が、加代子だけは、かたくなに否認。

「ピンハネなんてしていない。A子が勝手に使った」と主張し続けている。ちなみに、恵那市は芸妓のメッ力で、今でも市内では5-6軒ほどの置き屋が営業している。中で1も『K』は最大級だった。加代子自身、淡路の愛称で呼ばれ指名されれば今でも宴席に顔を出す女優だったらしい。商売に向いた愛想のよい女性でね。逮捕されても、、

「淡路さんのことを悪く言う人はいないよ。やっばり職業安定所を通さなかったのがマズかったんだろうなあ」

地元の旅館経営者によると、コンパニオン派遣もやっていたKには、何らかの形でほとんどの旅館が世話になっており、「若い子が期待できる」と評判だったらしい。

「A子ちゃんもチラッと見たけど、3カ月間だけだったからね。それぐらいの周期で人が入れ替わることはよくあることなんだよ」土地柄、恵那市ではこの程度の認識が当たり前なのだ。

まずタダで飲ませてから風俗に売り飛ばす
A子の例に限らず、人身売買は場所を変えて頻繁に行われている。温床になっているのはホストクラブで、Bの手口同様、いったん恋愛関係を結んでから借金を切り出し、「自分のために働いてくれ」
と女性をハメるのが常套手段だ。

「風俗に入らせるには2つの手順を踏むんですよ。まずはタダで飲ませてから、ツケがたまったところで水商売を紹介する。さらに金遣いを荒くさせ、系列の風俗店へ、と。ホストクラブと合わせ、経営者は丸儲けのシステムですよね」

ある風俗関係者は当たり前のように語る。が、その相手が未成年の場合、検挙される可能性はグッと高まる。5月18日、大阪府警が摘発したホストクラブは、未成年の少女にブランデーやウイスキーを飲ませたことが直接の容疑だった。調べによると、同店では河内長野市在住の無職少女らを、約230万円分をツケで遊ばせ、頃合いを見計らって風俗店を紹介。約170万円を返済させていた。が、この風俗店を取り締まり、借金を背負った少女を発見。彼女かり事情を聞いて捜査を進め、2カ月後に問題の店を摘発した。少女を誘ったホストは同店のナンバー3で、固定給はー日5千円だったにもかかわらず、ー力月に150万円の収入があったという。
ホストクラブに通ったため韓国式エステでアルバイト

こんな悲惨な例もある。佐橋ユリ子(仮名)は、地元の高校を卒業後、名古屋市の料理専門学校に通っていた。高校時代は絵に描いたような真面目な生徒。男性経験も決して豊富ではなかった。しかし、街で声をかけてきた男を気に入ってしまってから生活が一変する。当時、彼女は19才。男は2つ年上のホストだった。

男の勤めるホストクラブにツケで通いつめるうちに、飲み代が払えなくなった彼女は、まず韓国式エステで金を稼ぎ始めた。夜もテレクラのサクラでアルバイト。すべては店に通いたい一心で、金を使ってでも、男の優しさに触れたかったようだ。そんなある日、彼から

「キミとは本気だから店に来なくていい。一緒に暮らして幸せになろう」

と切り出される。もちろん、彼女は有頂天になった。すぐにアパートを借りて、同棲生活を開始。が結局、男が逃けたのは、借金が250万円ほどに膨らんだころだった。
男はー力月もしないうちに、次のように切り出してきた。

「手形の詐欺に遭ってさ。早急に100万円を作らないと、事業が倒産してしまうんだ。お前に迷惑はかけられないから別れよう」

当然、ユリ子はそんなことで離れる気はない。そこで、すでにブラックリストに載り、借金できないという男に代わって大手サラ金3社から約30万円ずつ借金、これをそっくり手渡してしまう。

「ありがとう。必ず返すからな。絶対大丈夫だかり」

ユリ子はその言葉を信じた。しかし、「ホストを辞めて始めた」という事業はいつまでたっても好転しない。やかてユリ子には矢のような督促が来ることとなる。彼女は男をなじったQが、その度にウヤムヤに丸め込まれ、挙句、別の金融屋に連れて行かれたのだ。借金を借金で返す自転車操業。看板も何もないトイチの闇金融に頼るのは時間の問題だった。それでも好きになった男を信じ続ける。
借金、売春、覚醒剤。追い込まれた挙句に自殺

「返せ、バ力野郎ー体で払わんかい」

ユリ子がどこかりも借金できなくなったとき、取り立てにやってきた男たちは殴る蹴るする暴力金融業者たちだった。彼らは巧みに借金の一本化を提案し、風俗店に売り飛ばす。

が、実はそこも表金融の看板を上げながら金融を営むサラ金直営の風俗店。彼女は寮に住まされ、毎月50万円うち、40万円をピンハネきれた。借金は250万円だったから10日の金利だけで25万円。いくら払っても、元金はまったく減らない。昼はテレクラ売春、夜は店で本番しても、タバコ代すら欠く貧乏生活を余儀なくされた。しかも、そんな生活を続けるうちに妊娠、そして性病感染してしまう。ユリ子は、何もかもが嫌になり、ある日、脱走した。

帰るところは実家しかない。彼女の両親はすでに事故で他界しており、待つのは祖父母だ。が、彼らはユリ子か背負った借金の督促で疲弊しきっていた。そして、男に編され風俗店で働いていた事実を知ると、烈火のことく怒り出す。

「ウチの一族には、お前のようなふしだらな娘は一人もいない。勘当だ、出て行け」

行く場所はどこにもない。結局彼女はあてどない放蕩生活を重ね、再びホストと知り合い、別の風俗店に売られる。ユリ子の新たなバンス(店を移るとき、店舗間で支払われる借金)は500万円に増えていた。金利は10日で50万円といっ絶望的な数字である。本来、利息制限法で定められた金利を超える場合、利率を設定する業者は登録業者でなければならない。同時に、消費者の合意が必要だ。無登録で、トイチの金利を設定しているとなれば、完全に出資法違反である。闇金業者たちはこの点をカバーするために、徹底的に脅した。
「お前がどこに逃げようと、地の果てまで追い詰めてやる」

「こちゃごちゃいってると、外国へ売り飛ばすぞ」

毎日のように怒鳴られれば、誰でも頭がおかしくなる。彼女の場合は、この苦痛から逃れるため、ヤクザから買った覚せい剤に手を出した。が、これが悪循環を生み、さらに借金は増え、ー千万円以上に膨れ上がる。そして、トドメを刺すかのように、ユリ子にエイズ疑惑が振りかかった。

彼女と本番をやった客のー人が「エイズに感染したようだ」と噂を広めたのである。「もう私なんか生きてても仕方ない。死んでも誰も悲しまない」

昨年夏、ユリ子は再び店から飛び出し、その2週間後に自殺した。が、その記事が報じられることはなかった。まさに唖然とさせられるほどの不辛である。

★人身売買ブ口ー力ーは日常に潜んでいる。猛毒を悟られないように、甘い蜜がかけてあるというのは本当だ。