防犯対策・詐欺の手口

実際にあった詐欺の手口や事件、犯罪者の告白です。防犯対策・防衛のための知識としてお読みいただければと思います。

障害者の優遇措置を悪用するエセ障害者の手口

「エセ障害者」というキーワードがにわかに脚光を浴ひている。工セ障害者。五体満足の健常者なのに、なぜか障害者手帳を持っている者。ピンピン跳ね回り、ホースで派手に水撤きしているのに、なぜか自力で歩けないことになっている者。そんな矛盾した存在に自ら進んでまでしてなる理由はいったい何か。

言うまでもない、国が定める、障害への各種優遇措置を利用するためだ。税の減免、障害年金の支給、公営住宅の特別減額、公共施設の無料利用などなど、太来、社会生活にハンディキャップを持つ障害者のための措置を、健常者ながらにして受け、その恩恵に授かるつというわけだ。

福祉制度の根幹を揺るがす、エセ障害者なる存在なぜこのような不正がまかり通っているのだろうか。
その理由は、障害者という存在を法で定義することに限界があるためではなかろうか。障害者かそうでないか、イコール優遇措置を受けられるか否かその分類をするには否が応でもある境界線を定めねばならない。その境界が障害者手帳の有無すなわち

「障害者認定を受けたかどうか」である点に、工セ障害者のうまれる余地ができる。ぶっちゃけた話、体に不自由があるかどうかは関僕なく、認定のための書類を整えさえすれば誰もが障害者になれてしまうのだ。撃えるべき書類とは、役所に提出する申請書と「認定医の診断書」のみ。つまるところ、エセ障害者になるためのハードルは診断書のみとなる。

精神障害なら演技できる?
しかし、はたしてそう簡単に認定医の診噺響など入手できるものだろうか。そこでまずは、医者をダマし障害のあるフリをして診察を受ける方法について、成功の可能性を考察してみよう。種類は大きく「外部障害」「内部疾患」「精神障害」の3つに分けられる。

まずは、肢体、目、耳などの「外部障害」はどうか。おそらく、足が痛い、耳が聞こえないとアピールするだけなら簡単なことだろう。医者だってすぐ信用するかもしれない。しかし、容易に認定される分、等級が低くメリットも少ない。高い等級を目指すエセ障害者の場合、それでは不完全である。

外部障害の判定には、かなり具体的な基準が明記されている。それに従えば、5級6級ならまだしも1級2級に該当するには、本当にそれら器官を傷つけなければならないことになる。演技というレベルではダメだ。

また同様に、肺や心臓などの「内部疾患」を偽ることも不可能と言っていい。これも、認定基準に、詳細な症状検査所見が示されているからだ。いくら「肺が痛いんでまなどと切実に訴えたところで、精出検査をすれば一発でバレる。

そして最後の「精神障害」。察しがつくように、実はこれには具体的な認定基準が設けられていない。こう尋ねられてこう答えたから精神分裂だ、ここを叩いてこんな反応だから躁鬱病だ、そんな明確な基準などどこにもないのだ。

ならば、演技だってバレないんじゃないか。チンプンカンプンなことを口走ってさえいればゴマかせるはずだ。そう考えるのも無理はない。事実、エセ障害者を目指す者のほとんどが、精神障害を狙っているぐらいだ。しかし結論を言えば、やはりこれも困難と言わざるをえない。

社会保険庁の定義する障害の状態の基本に、

「他人の介助がなければほとんど自分の用を弁することができない(ー級)」

「日堂生活がいちじるしい制限を受ける(2級)」といった、暖昧な表現ながらかなり厳しい条件が提示されているためだ。
医者とつながっている人物といえば
断言しよう。健常者が上級の障害者認定を得るには、医者をダマすのではなく医者を抱え込むやり方しかない。今回本特集にあたり編集部が取材した2人のエセ障害者が、まさにその現実を証明している。彼らの"障害者化"は共に、地元議員の仲介を挟むことによって初めて実現されたのだ。

そのうちの1人、北関東に住む40才の男性は、会社をクビになって工セ障害者計画を立ち上げ、ようやく障害年金の振り込みを受けるに至る。いつまでも遅々として前に進まぬ4年間は、通院と演技の年月だったという。そう、彼も多くの工セ障害者志願者同様、精神分裂を装い、総合病院の精神科医をダマそうとしたのだ。

「最初は軽い気持ちだったんですよ。できるだけ髪の毛もボサボサにして汚い服装で行けば、それっぽく見えるかなって」自分なりの精神分裂法を駆使した彼は、幻聴が聞こえることを非適応性の柱として通院。しかし、やはりハードルに阻まれる。しょせん素人の演技では重度障害のフリなとできないのだ。

「精神障害の2級って相当なもんですから。とんちんかんなことばっかり言ってても、そのとんちんかんぶりが2級になってなきゃいけない」

おかしな説明だが、言わんとしていることはわかる。さらに次も、演じることの困難さを表しているだろう。

「知能試験みたいなことをさせられるんですよ。こっちはわざと全部間違うんだけぐどうもそれじゃダメらしくて。精神分裂の間違い方になってないんでしょうね、たぶん」幾重にも張り巡らされた壁。しかしその難関を、彼は後に一発で突破してしまう。

「どういうツテかは内緒」とのため触れないでおくが、要は、とある議員の口添えの後に病院を訪れただけ。それだけでー級障害の診断書を入手したのだ。

「医者とつながってるのはどこかって考えたとき、単純な答が見つかりまして」と、彼は言う。さてもうー人、同じく北関東に住む34才の男性は、元々足に軽い障害があっただけなのを、議員の口添えによって2級障害にしてもらっている。

「草野球で走り回ってるのに日常生活極めて困難ですからね。こんなおかしなことありませんよ」彼もまた開業医ではなく総合病院の医者を取り込んでいる。たまたまかと思えば、実はこれにはちゃんとした理由があった。

「開業医ってのは、不正や事故の全責任を自分で負いますよね。でも総合病院の場合、病院で何かあって主に責任を問われるのは管理者であって、勤務医じゃないでしょ。そこに付け込む余地があると思ったんですよ」

手帳交付のためニセの診断書を書いたとなれば、その医者は公正証書原本不実記載の重罪に問われる。開業医は、そんなリスク、よっぽどのワルでない限り犯さない。その点、責任追及の少ない勤務医の方がルーズだる踏んだのだ。まがりなりにもエセ障害者になろうという男である。考えるべきことは考えている。

※この記事はフィクションです。防犯、防衛のための知識として読み物としてお読みください。実行されると罰せられるものもあります。