防犯対策・詐欺の手口

実際にあった詐欺の手口や事件、犯罪者の告白です。防犯対策・防衛のための知識としてお読みいただければと思います。

個人間の金銭トラブル・貸した金はこうやって返してもらった

35才のサラリーマンが証券会社に一緒に行ってほしいと頼んできた。なんでも「絶対に損はしない。元金は保証する」と言われ株に手を出したところ大損をしたらしい。リスクは承知の上のことだから金を返してほしいとは言わないが、担当者が強引な勧誘をしたのも事実。なのにお詫びの一言もないどころか、彼が何度会社に電話を入れても居留守を使い捕まらない。それが許せないというのだ。

しかし電話でさえまともにつながりないのだかり、自分一人で会社に行ったところで門前払いを食うのは目に見えている。

「ゼヒー緒に行ってもらえませんか」株で損した上、私を雇ってまで文句を言いたいという依頼人。一般個人が企業や団体を相手に非を訴えるのは簡単なことではないのだ。依頼を受けた私は、髪をオールバックに決めて派手なスーツを着込み、暴力団さながらの外見を装い出かけた。その風貌を見て追い返すのはマズイと思ったのだろう。奥の部屋に通され、担当した営業マンとその上司が応対に出てきた。
私は一言もしゃべらず、ただ依頼人の横でイラついたように足を揺すり続けた。トギマギした様子で対応していた相手は、依頼人が思う存分思いのたけをぶちまけるのを黙って聞き、「お詫びの言葉がほしかった」と言った途端、土下座した。これで一件落着である。

「お陰で気が晴れました」証券会社を出ると、依頼人はそう言って去っていった。もちろん、こんな仕事はめったにない。私か動く以上、報酬は必要になるのだから、金銭的要求か伴わない例はいたって稀なのだ。支払い命令が下っても回収するのは自分。私がどんな方法でトラブルを解決しているのか、例を挙げながら紹介していこう。

依頼の中で意外に多いのが、金銭回収だ。巷では銀行や証券会社の不艮債権が問題になっているか、金を貸したのに返してくれない、商品を渡したが代金を払ってくれないなどの金銭トラブルは個人間でも多発している。50万のツケが貯まった客からお金を回収してほしいという銀座のママが駆け込んできたり、知人か貸した金を返してくれないなと、お金を巡るトラブルは引きも切らない。

正攻法でいくなら裁判だ。借用書や振り込み明細など明らかな証拠がある場合、簡易裁判所に訴えれば法が裁いてくれる。98年より、30万円以下の金銭支払いをめぐるトラブルについては原則ー回の審理で即日判決を出す『少額訴訟手続』が施行された。これは弁護士を頼む必要もなく、手数料も印紙代などー万円未満。申し立て黒墾日を提出するだけで提訴できるので、個人間の金銭トラブルにはうってつけの方法だ。ただし、裁判で勝っただけではお金は戻ってこない。判決には強制力がないため、相手から金銭を回収するのは自分でやらなくてはならないのだ。

もし自力で回収不可能なら、給料の差し押さえも申請できるし、裁判官に強制熱打してもらう方法もあるにはある。が、それには手間ヒマがかかる上、相応の金が必要。加え、家具など押さえたところでさしたる額にならないから債務額によっては足が出てしまう)私のところへも、裁判で支払いを取ったにもかかわらず相手が金を払ってくれないので何とかしてほしいと泣きついてくる客かいた。依頼人は代金300万を踏み倒された古物商で、裁判に勝ったはいいか、相手はまったく払う気がないというのだ。

私とて、何も特別な策があるわけではない。定石どおり本人や親族関係を当たって返済してくれるよう交渉し、それでもダメならガラの悪い親戚に成り済ましたりして取り立てるだけ。さらに額が大きく手強そうな相手の場合は、依頼人から私に債権を譲渡してもらって裁判に打って出ることもある。裁判所のお墨付きは10年間有効なので腰を据え、多少の脅しや嫌がらせを交えながら給科や家財伯具を差し押さえて追い込んでいく。古物商のケースでは、債務者が一流企業に勤務する課長さんだったため、私が勤務先を訪ね総会屋にコネがあることをほのめかしただけで陥落した。金銭トラブルが公になればリストラされかねないと思ったらしい。

「給料が思ったほど上がりなかったのでつい」
依頼人立ち会いの上、6回の分割で支払う念書を作成し、いままでのところ約束どおり振り込みが行われているそうだ。たぶん、私の話を聞いて、そんなことなら自分でもできそうだと思った人は多いだろう。確かに、私がやってることは誰でも可能な方法だ。ただ私にはノウハウがあるにすぎない。常に法的な対応を考えながら、どこまでやればいいのか、または何をやってはいけないのか。さらに相手のリアクションを相像する力と、臨機応変に対処する応用力か必要なのだ。