防犯対策・詐欺の手口

実際にあった詐欺の手口や事件、犯罪者の告白です。防犯対策・防衛のための知識としてお読みいただければと思います。

不当解雇対策・組合なくても個人で闘う方法

私がその専門商社に入社したのは37才のときのこと。勤めていた会社が倒産したばかりで求職中だったところ、過去20年近くこの業界で生きてきた職歴を買われ、管理職候補として採用されたのだ。ところがー年後、直属の上司が、売れもしない商品を大量に仕入れてしまい、それを理由に失脚。歳を食ってるとはいえまだ新人扱いの私が、在庫さばきの任に就くことになった。ところが、売れない品物はどれだけ頑張ったところで売れやしない。配属後ー年経ってもその商品はほんの数セットしかさばけなかった。案の定、5月の決算が終わった直後、総務部に呼び出される。

「あなたは来期の戦力に入ってない」

会社の言い分は、3カ月だけ猶予を与えるので、その間に成果を出せとのこと。こんな商品、何力月かけたところで成界もクソもない。こりゃ3カ月後に解雇する腹積もりだなと、すぐに私は悟った。ならば対策を講じておかねば。
石にしがみついてでも会社に留まるという選択肢を消した以上、残る目的はどれだけ多くの金をもらって辞めるかだ。社の規則により在職2年半では退職金も出ないが、代わりに和解金をせしめることぐらいならできるだろう。ところが聞いて回ったところ、この会社、250人も社員がいるくせに、組合がないため今までも簡単に社員が解雇され、みんな黙って辞めていったといつ。組合がないからといって、すんなり退社するのはあまりにバ力けている。なんとか個人で闘う方法はないものだるつか。その主旨でサラリーマン向けの本を調べてみたところ、どうやら3通りの手段があるらしい。

ーつは労政事務所に頼ること。ここは会社と個人の間に入る中立機関で、会社側に問題ありとみなせば勧告を送ってくれる。会社にしてみれば、トラぶると職安で募集をかけにくくなることもあり、怖い存在だ。

もうーつは組合に入って闘うこと。個人でも加入できる「管理職ユニオン」というのがあり、本人と一緒に団体交渉やビラまきなどもしてくれるらしい。これは相当な脅威だろう。

最後は弁護士に相談すること。まあ、それなりのことはやってくれそうだ。ただ、いずれも和解金をせしめることはできても、それまでに時間がかかりそうなのが難儀である。できれば私はすぐにでも金をもらい、しばらくは失業保除ど併用しながらお気楽な生活を送りたいのだ。結局、私はどこにも頼らなかった。代わりにそれらの機関に相談してるんだよと匂わせることで、会社をビビらせる作戦を採ることにしたのだ。同族経営で、のほほんと世を渡っているこの会社、争いごとには慣れていない。しかも業界自体、社内でのいざこざが表に出ると、客や取引先に敬遠されるので、できるだけ内々で解決したがる傾向がある。その体質を利用するのだ。
和解金を受け取るだけでなく再就職の妨害も阻止

3カ月後、予想どおり総務はこう言ってきた。規則によって解雇します。要するに業績不振が理由だ。内容は、本日付けで辞めればー力月分の給料を渡す。辞めなければ10月に自動解雇。まったく勝手なものである。私は辞めたくないんだといつボーズをとってみた。和解金をもらうことが目的であっても、いきなり金の話を切り出すのは得策ではない。イヤらしいヤツと思われたくないのではなく、足元を見られるのを避けるためだ。

「この不況の最中に素っ裸で追い出されては食べていけませんよ」

「まあ、しかし君もわかってるだろうが、あの成績ではねえ・・」

「でも、それは商品を仕入れた者の貴任ですよね」

一応は正論を吐いてみるが、取り付くシマなし。そこで、私はこう言った。

「実は労政事務所や管理職ユニオンに相談したんですよ」

総務の顔色が変わる。
「あなたは、とれぐらいのことを考えているの」

持って回ったいい方だが、金銭的なことを意味していることがわかる。なんとも話が早い。定年まで勤務したと仮定し、生涯賃金を要求する手もあるらしいが、そんなことを主張して、それなら会社に残ってくれといわれても困る。私はあらかじめ調べておいた相場、給料8カ月分を和解金として要求した。また、すぐに失業保険をもらうため、退職理由を「部門縮小に伴う業務閉鎖による、会社都合による退職」と改めること。

さらに、再就職活動を一切妨害しない旨にサインを求めた。これは、新しい就職先からの間い合わせに対し、和解金をふんだくるようなヤツだと告げさせないためだ。

★救済機関を頼らなくても、会社なんてところは、その存在を匂わせるだけであっさりとこちらの主張を飲むものだ。特に過去に簡単にクビを切っているようなところほど、その傾向は強い。サラリーマン同志よ、勤続年数が少なくても、あきらめないで大金をせしめてやろうじゃないか。