防犯対策・詐欺の手口

実際にあった詐欺の手口や事件、犯罪者の告白です。防犯対策・防衛のための知識としてお読みいただければと思います。

主婦がサラ金で架空名義・他人名義で約5千万円も借金しまくった事件

朝日新聞に25人分の名義を使い、借金しまくった大阪の主婦(30才)のことが報道されていた。記事によればこの女性、次々に架空の名義を作ってはサラ金を渡り歩き、10年間で約5千万円の融資を受けたらしい。

ただし、その手口は、本名の一部を変える(例えば本名が小沢豊だとすると大沢豊や中沢豊にする)とか、生年月日を改ざんしたりして複数の名義を作っただけという単純なもの。確誌できただけで、使われた姓は12、架空は18に上るという。新聞に載ったインタビューでは、本人は犯行を否定しているが、さて皆さんは、この事件にどんな感想を持たれるだろうか。

サラ金のチェックは思ったほど厳しくなく、そういう審査の抜け道があるのではないかと思った人も多いだろう。様々なお金貸しで働いていた私の経験からするに、実際そのとおりである。サラ金の審査は厳しく、そこで厳密な審査が行われているというのは、ある意味、見せかけに過ぎない。融資できる客かとうかの見極めだけに熱中しすぎて、肝心の本人確誌などが置き去りにされていることも多い。こうしたサラ金の内部事情を知ることによって、そこには一般的に思われているのとは違う別のサラ金像が浮かび上がってくる。

始めにサラ金とはいったいどういったところなのか、融資という点に話を絞って述べてみたい。いかに多くめ金を貸し出せるかサラ金は金を貸したかっているというのは、長らく金融業界で働いてきた私の率直な感想だ。返済で苦しんでいる債務者とは対照的にサラ金の側は融資したくてたまらないのである。

審査が厳しいとか、なかなか融資してくれないというのは、一部の人の見方に過ぎない。サラ金は金を貸して利息を取るのが商売なんだから、それは当たり前のことではないかと思う人がいるかもしれない。しかし、物事には程度というものかある。昔からサラ金の過剰融資による多額多重債務者の存在や、毎年の自己破産者の増加などが一種の社会問題とされてきた。これはサラ金のむやみやたらな融資に起因しているものであり、ここでサラ金は回収に自信があるから融資をするのだと言ったところで、それは言い訳にすぎないだろう。

いわば個人の返済能力を無視して、過剰な融資を続けているのが今も昔も互わらないサラ金の体質である。また、サラ金というと過激な督促を思い浮かべる人が多いだろうが、利息で飯を食っているサラ金にとって一番大事なのは、より多くの客により多くの金を融資することである。融資と回収は一枚のカードの表裏みたいなものだが、融資してこその回収であり、融資こそがサラ金の一番大事な業務なのだ。言ってしまえば回収業務はオマケみたいなもの。

いかに優良な客を集め、どれだけ多くの金を貸し付けられるかに全てがかかっていると思えばいい。プロフィールにあるとおり、以前、私は数社のサラ金に勤め融資の審査で決済業務を任されていた。といっても、いきなりそういう立場になったわけではなく、回収(管理)や受付業務を相当経験した上での話だ。誤解してほしくないのは、決済権があるからエライ、のではなく、単に支店の売り上げから管理業務について全ての責任があるという意味に渦ぎないことだ。

売り上げノルマは達成できて当たり前。達成したところで誉められることもなく、達成できなかったらクビが飛ぶだけである。多少オーバーな表現かもしれないが、大小のサラ金どこをとっても、程度の差こそあれ実状は変わらない。よって常に頭の中は売り上げノルマのことでいっぱい。

普通、ノルマといえば死ぬ気でやれば何とか達成できるものだが、サラ金の場合は冗談みたいにキツイ。例えば3千万円が今月の売り上げノルマだったとする。この売り上げとは、単純に新規顧客への融資額ではなく、新規融資、増額、枠内融資&再利用の3つの合計のことである。そして売り上げに占めるそれぞれの割合は3分の1ずつくらいが普通だ。

つまり、新規融資でー千万円、増額でー千万円、枠内&再利用でー千万円と考え、それを目標に営業するのだ。素人考えでは、枠内&再利用で苦労することはなく、目標に届きそうになかったら「枠内でのご利用はいかがですか」の営業電詰をかけまくればいいし、増額の勧誘も断る客は少ないだろう、と思うかもしれない。が、なんてったって新規に貸付をした、もしくは数力月前に貸付をした客がいてこその増額なのであって、数月前の新規顧客の獲得数が悪ければ、必然的に増額による売り上げ金額も下がってしまう。

仮に増額融資で700万円しか売り上げがなかったとすると、不足する300万円は新規の顧客を獲得して埋め合わせをしなければならない。だが、想像以上に新規の客を集めるのは難しい。毎月、宣伝広告の類は予算の許す限りフル活用するのだが、それでも申し込みに来る客の絶対数はシレている。ただでさえ新規でー千万円を売り上げるのはキツイのに、それにプラス300万円など、まともにやっていては絶望的な数字である。これでは本来なら融資できないような客に「担当者の甘い判断」とか「多少のイカサマ」で融資したり、また融資金額を上乗せしたくなるのが当たり前だろう。私が「サラ金は金を貸したくて仕方がない」という意味がわかっていただけただろうか。

融資できそうな客が来たら融資して、少しでも危なそうな客だったら断ってしまっていいですよ…なんて悠長な状態で仕事をしてる訳ではないのだ。延滞が発生するのは当たり前。そんなことを気にしていたら融資などできない。いつも気分は売り上げ命ーそうじゃないと勤まらないのがサラ金という職場なのだ。

大手と中小では客層が遅い過ぎるサラ金の本音がわかったところで、もう少し突っ込んで、その実能を見ていこう。ひとことでサラ金といっても、テレビでコマーシャルをバンバン流している大手から、一般には名前も知られていない小さな会社まで、実に沢山の会社がある。これ、同じ「お金貸し」という業種ながら、ある意味では全く別の業種だと考えた方が適当なのかもしれない。

というのも、大手と.中小では客層が違い過ぎるのだ。大手がまだサラ金を利用したことのない一般人の新規需要を狙っているのに比べ、中小のサラ金は借金で首が回らなくなった、いわゆる借金中毒の客を相手にしている。言ってしまえば、大手が掘り起こした客を狙って、過剰なまでの貸付をして甘い汁を吸わせてもらっているのが中小のサラ金ともいえよう。よって、審査基準や回収も、会社の規模により相当な違いがある。

まず、大手はテストの採点をするかのごとく審査を行うのが通常だ。これはスコアリングシステムと呼ばれる審査形式で、過去に融資した顧客のデータを元に、統計学によってリスク回避と利益向上という観点から、融資していい客の条件と、融資額の上限が定められたものだ。融資額については、基本的に社会保険は50万円、国民保険は30万円が上限。そのほか独身者は20万円とかさまざまな要素で上限が決められている。上限なんだから、その金額までならいくら融資してもいいのだが、通常は上限いっばいがお約束。

30万円貸して踏み倒されるのと、40万円貸して踏み倒されるのとは、たいした違いはあるまい。細かなことで減額していては、売り上げが伸びやしないのだ。と、大手サラ金はどこも気前よく貸してはくれるが、一度でも返済が遅れようものならニ度と融資はしてくれない。延滞客には人海戦術で回収するか、一気に法的処理に持ち込むなど、人と金にものを言わせたパターンをよく使うのが特徴だ。一方、中規模のサラ金は審査にこれといった統一性がない。審査が細かいところは徹底して細かいし、反対に大雑把なところは大雑把と、会社によってまちまち。

また回収の面においても、何が何でもしつこく回収しろというところもあれば、あまり深追いしても人件費など経費がかかるだけだから、ほどほどでいいというところもある。これはもう本社の考え方の違いとしか言いようがない。小規模のサラ金はさらにアバウトだ。

前記したように、この手のサラ金に来るのは、大手や中規模のサラ金から借りまくった客ばかり。借入件数が7社だの8社だの、金額にして300、400万円も珍しくない。こうした場合、審査の拠り所としているのが「他社での支払実績」だ。他社で延滞してなければ、当社で融資しても延滞しないだろう、という単純な希望的観測でどんどん融資してしまう。

どうせ会社の金ということもあるが、それ以前に客層か悪いので、受付票に書かれた事柄でいちいち考えていたら、貸せる客などいなくなってしまうのだ。だから、この手の小規模サラ金は、一度客をつかまえるとなかなか離さない。返済が遅れたところで、「延滞がなければ、あと×万円の融資かできるんだけどなあ」と口説き、何度でも借りてもらうのが常識だ。客も客で、ニ度と融資してくれない会社には返済などしないが、「金を貸す」と言われるとすぐに返し、また借りるとなれば、業者にしてみても、延滞件数は減るわ売り上げはアップするわで表面上はいいことだらけなのだ。

どんなに怪しくても10万円は貸すと、このように会社の規模により審査基準や延滞処理は異なるが、どこにも共通していえるのが、「他社で支払延滞中」か「借り入れ件数が多すぎる」場合には貸さない、ということ。逆にいえば、その条件さえクリアしていれば、誰にでも貸すと考えていいだろう。ただ、何度もいつが、サラ金ってところは世間の想像以上にノルマが厳しく、その達成のためには、やっちゃいけない裏ワザが使われることもしばしばだ。

例えば、一流企業やお役所にお勤めなど、それなり社会的信用というか弱味がある客が来た場合、他社で借りまくっていようが延滞していようが、担当者しだいでどうにでもなってしまう。大きな声じゃいえないが、わさと名前や生年月日などを間違えて入力し、問題のない信用情報を作ってしまうのである。私はそういうのは好きではないが、別支店の支店長はこれが得意で、売り上げを伸ばすためによくやっていたものだ。今になってサラ金の信用情報に間違いが多いと騒ぎになっているが、多くはサラ金の積極的情報操作が原因だと私は思っている。

また、信用情報機関のデータで問題がなくても、会社の審査基準に満たないがある。居住年数が足りないとか、勤続年数が足りないとか、他には総合的に考えてスコアが足りないとかいったケースだ。そんなときも、またもや情報操作。受付票でマズそうなところを、サラ金が校正してやり、審査基準を無理矢理合わせてしまえばいい。自営業者の多い国民健康保険では、もう好き放題に改ざんできる。国保なら会社名だのは当然書かれておらず、おまけに仕事内容に関しては客の自己申告に任されているのだから、客が「そう言った」ということにして受付票に書き込んでしまえばOKだ。

そのほか、例えば風俗嬢などの場合でも、どんどん改ざんしてしまう。勤務先が「ヘルス裏モノ」だとすると、ヘルスの部分を消してしまって、単に「裏モノ」にする。職業は風俗嬢ではなくて接客業。はい、20万円のご融資になりますってなものである。とにかく、貸せると思った客には、何が何でも貸し付けなければならないのがサラ金。中には受付面示に何も問題はなくとも、なんとなく気にいらない客、怪しそうな客もいるが、その場合も10万円でもいいから貸しておく。業界で言う「捨て十」、つまりは金をドブに捨てたつもりの10万円の融資ということだが、これで無事に返済されれば何も間題はないのだ。

本人確認はないに等しい浮サラ金のこうした“貸したがり体質“のもとでは、新聞で報道されたような、架空名義を使い借金しまくる主婦が生まれても、何も不思議ではない。世間一般かり見れば、サラ金が融資をする際、申込者が本人かどうかを念入りに確認するのは当たり前のように思われるだろうが、実際は相当いい加減なのだ。
もっともサラ金側に言わせれば、そんな細かくできないし、調べたところでわからないというのが本音かもしれない。受付に当たっては、申込者の自宅や勤務先の住所や電話でチェックするが、これは別に本人かどうかを識別するためにやるわけではなく、申込内容に嘘がないかどうかを調べているだけ。自宅や会社に電話したりもするが、これも同じこと。申込者が本人かどうかなど、調べる術はない。電話での申し込みで融資を受け付けるところなど、相手が自宅から雷話して、なおかつ自宅に確認の電話を入れるだけだから、本人確認などしていないに等しい。

干支を聞くだとか、サラ金が本人確認に使う奥の手など今や知れ渡っていて、子供編しみたいなものだ。また客によっては、本人確認が難しい場合もある。例えば専業主婦などがそうだ。勤務先がないのだから、会社に電話して確認するわけにもいかないし、配偶者には借入のことは内緒ということなので、どこかのセールスを装って電話を入れるくらいのことしかできない。こんな単純な手口でさえもダマされて融資してしまうことが多々あるくらいだから、子供が母親の名前で申し込んで来たり、もしくは兄弟の保険証を使って申し込んできたら、もうお手上け。身内なら保険証とか運転免許証などをこっそり借用することもできるだろうし、なりすます相手の個人情報も入手可能なのだ。ましてや、偽造の保険証などを使って巧妙な詐欺が行われたとしたら、チェックできるわけがなかろう。

サラ金も手間暇かけてじっくりと審査をしたいところだろうが、そんなことをしていては「簡単に借りられる」というサラ金の利便性が損なわれるし、客も嫌になって帰ってしまう。よって現実は、詐欺だといっ可能性は捨てて審査を行っているのが実状なのだ。もっとも、支店レベルでいえば、もし仮に詐欺でも、そんなのは知ったことじゃないだろう。審査基準を守って融資したのであれば、本社かりとやかく言われる筋合いはどこにもない。こんなことで本当にいいのかと、個人的に疑間に感じることはあるが、サラ金は全てが「本社様の言う通り」で物事が進行する職場である。結局、本社がそれでいいと言ってるのなら、それに従うほかはないし、実際こんないい加減な審査でも収益は上がっているのだかb、何も問題はないのだ。